マーケティングでは、「ベネフィット」と「メリット」という言葉をよく使います。しかし、その違いを正確に理解している人は、それほど多くはいません。この2つの言葉の違いを知ることで、集客力を高めることができます。
このコラムでは、「ベネフィット」と「メリット」の違いを説明し、キャッチコピーやブログ、ホームページのWebライティングにどのように活かしていくのかを詳しく解説します。
ベネフィットとメリットの違い
「ベネフィット」と「メリット」の違いを調べると、下記のような解説が書かれています。
- ベネフィット(benefit)は、商品やサービスを利用することで得られる価値や利益
- メリット(merit)は、商品やサービスの機能や利点
ベネフィットとは?
ベネフィットとは、商品やサービスから得ることができる価値や利益のことです。「安い!」という金銭的なお得感だけではなく、「楽!」「時短!」「安心!」などの心理的な恩恵や便益も含まれます。商品やサービスを使うことで得られる満足感、充実感、快適感がベネフィットになります。
メリットとは?
メリットとは、商品やサービスそのものの機能や利点のことです。ライバルの商品やサービスと比べて、どのように違うのか、どんな点が評価されるのかを強調するために使われることが多いです。わかりやすい言葉でいうと、「特徴」や「売り」のことです。
こう説明されても、わかったような、わからないような感じですよね。
具体的な事例で見ていきます。
ベネフィットとメリットを具体例で比較すると
最新の洗濯機で説明すると、
事例 | |
ベネフィット(商品から得ることができる価値や利益) | 「大変だったアイロンがけの時間が半減。1回の洗濯で30リットルの節水。10年間で10万円もお得に!」 |
メリット(商品の機能、利点)ライバルの商品と比べて、どう違い、何をアピールしているのか | 「ノンアイロン乾燥。ボタンひとつでAIが最適な節水プランを選択、AI節水」 |
ベネフィットは、商品やサービスから得ることができる価値や利益。メリットは、商品の機能や、ライバルの商品と比べてアピールしたい利点です。ただ、事例を見ても、まだ釈然としないという方も多いのではないでしょうか。
顧客は商品やサービス自体に興味はない
ベネフィットの考え方を知る上で、有名な格言が、セオドア・レビット博士の「ドリルを買いにきた人が欲しいのは、ドリルではなく『穴』である」という言葉です。
顧客の欲求は、「ドリルを買うこと」ではなく「穴をかけること」です。商品やサービスを売るためには、顧客にとっての価値を取り違えないようにしなければなりません。しかし、売り手は、ドリルを買いたいと考えてしまい、ドリルのメリットを説明したがります。そうではなく、どのような穴を開けたいのかを聞き、最適な解決策を提案することのほうが重要です。
顧客は商品やサービス自体に興味がある訳ではなく、商品やサービスを買うことで得られる未来を期待して購入しています。
ベネフィットとは、まさに購入することで得られる未来のことです。
なので、商品やサービスのスペックを説明するのではなく、購入することで得られる未来、ベネフィットに焦点を当てるようにします。
1000曲をポケットに
スティーブ・ジョブスは、初代iPodを発売した時、「1000曲をポケットに」というフレーズで商品を表現しました。まさに、iPodを購入することで得ることができる未来です。カセットやMDを入れ替える、わずらわしさ。複数のカセットを持ち歩く不便さから、解放された未来を、一瞬でイメージできます。ベネフィットの最高の事例になります。
これが、「重さ185g、容量5GのMP3プレイヤーです」というメリットだけのプレゼンでは、iPodで音楽を楽しむ自分を想像することができなかったでしょう。
メリットをベネフィットに変換する公式
「理屈的に、ベネフィットが何かというのはわかったけど、どう書いたらいいかわからないよ」
そう思っていませんか?
そんな方のために、メリットをベネフィットに変換する公式があるので、それを紹介します。
- メリットだけの商品説明を書き出す。
- その商品説明を聞いた顧客から、「で、私にどんないいことがあるの?」という質問への答えを考える
たったこれだけです。簡単にメリットをベネフィットに変換することができます。事例で見ていきます。
この洗濯機は、頑固な汚れも1回の洗浄できれいになります。シワになりにくいノンアイロン乾燥機能もついているので、洗濯の後も衣類が絡みません。ボタンひとつでAIが最適な節水プランを選択するので、節電、節水効果は抜群です。
へ〜。すごいね。それで、私にどんないいことがあるの?
大変だったアイロンがけの時間が半減できます。また、1回の洗濯で30lの節水ができます。4人のご家庭だと10年間で約10万円節約できます。
それは、いいね。
ベネフィットが重要な理由
上記の例でわかる通り、メリットは商品やサービスをアピールするための説明です。ただ、メリットだけでは、それを購入した後、どんな価値や利益をもたらしてくれるか、どんな未来が待ち受けているのかが分かりません。
そのため、 自分事化ができません。
商品は素晴らしいのに、売れないことがあります。それは、自分事化、ポジティブな未来がイメージできないからです。
なぜ、メリットでは自分事化できないのか?
先ほどのドリルの例を使って、なぜ、自分事化できないのかを見ていきます。
営業マンは、ドリルの性能を説明したがりますが、顧客は、「自分がどれだけ簡単に、どれだけキレイに、どれだけ短時間で、穴が開けられるのか?」しか興味がありません。
「このドリルは、毎分1000回の高速タイプなので、キレイな穴が空きます」と言われても、一般のユーザーにはピンときません。
商品に焦点を当ててしまうと、顧客の課題がボヤけてしまいます。そのため、説明の内容に共感することができなくなってしまいます。共感ができなければ、自分事として捉えることもできません。
そのため、どんなに説明されても自分事化することができないのです。
実は、顧客は自分が欲しいものをわかっていない
そして、自分事化できない、もう一つの理由が、顧客は自分が本当に欲しいものがわからずに買い物をしているということがあります。
例えば、先ほどの洗濯機を購入する場面では、欲しいのは、「最新の洗濯機」ではなく、「共働きの忙しい日常から少しでも自分の時間を作りたい。それも手を抜かずに。そのために家事の時短、省力化をしたい」という本当の欲求が隠されていたりします。
いくら丁寧に機能を説明しても、購入を躊躇するのは、顧客が、本当に欲しいもの、本当の課題の解決策まで辿り着いていないので、「買おう!」という気持ちに火が付かないのです。
メリットをベネフィットへ変換する3ステップ
最後に、メリットをベネフィット化する3つのステップを紹介しますので、ぜひ、自社の商品、サービスで試してください。
メリットをベネフィット化する3ステップ
- STEP1:顧客のペルソナを明確にして
- STEP2:その人にとってのメリットを書き出す
- STEP3:ペルソナが本当に欲しいベネフィットに変換する
これをすることで、Webライティングの質が上がります。
STEP1:顧客のペルソナを明確に設定する
人によって、欲しいと思う要素が変わります。同じ商品でも、20代のOLと40代の専業主婦では、求めるベネフィットが異なります。
誰に向かってベネフィットを伝えるのかを明確にする必要があります。まず、ペルソナを詳細に設定します。
STEP2:その人にとってのメリットを書き出す
ペルソナが設定できたら、商品のメリットを書き出します。機能や利点を書き出せるだけ、書き出します。往々にして、機能や利点は売る側の視点に立っています。この時点ではあまり気にせずに商品の売りを書いていきます。
STEP3:ペルソナが本当に欲しいベネフィットに変換する
書き出したメリットをベネフィットに変えていきます。ベネフィットの変換法は、先程も話した「へ〜、すごいね。それで、私にどんないいことがあるの?」の答えを考えます。
このベネフィットを中心に文章を書いていきます。
まとめ
顧客は、自分が本当に欲しいものがわからずに買い物をしています。「あなたが本当に欲しいものは、コレですよね」と教えてくれた営業マンから商品を買います。
同様に、「あなたが本当に欲しいものは、コレですよね」と教えてくれるブログ、ホームページからものを買います。
ぜひ、ベネフィットに焦点を当てて文章を書くようにしましょう。
また、効果的なWebライティングを学びたい方へ、「繁盛ホームページ【9日間プログラム】」を用意しています。ぜひ、そちらもチャレンジしてください。