コンテンツマーケティングは集客につながる強力なコミュニケーション手法です。しかし、すべての会社のコンテンツマーケティングが成功している訳ではありません。むしろ、多くの会社が、期待した成果を得られずに、失敗に終わっています。
なぜ、コンテンツマーケティングで失敗してしまうのでしょうか?
失敗する理由は、社内の体制や予算配分、外注パートナーの選び方など様々な理由が考えられます。しかし、根本的な理由は、それほど多くありません。その原因を理解できれば、逆に、効果的な集客、ブランディングも可能です。このコラムでは、コンテンツマーケティングが失敗する理由を解説し、効果的な戦略で立て直すため対策を紹介します。
コンテンツマーケティングありがちな5つの失敗
コンテンツマーケティングのよくある失敗理由は以下の5つです。
失敗1:コンテンツマーケティングの目的・ゴールが明確でない
目的やゴールが曖昧でスタートしている会社が意外と多いです。
- 自社が顧客のどんな問題を解決できるのか?
- どのような顧客へ向けて情報を発信していくか?
- どんなリアクションをしてもらいたいのか?
そう言った目的やゴールが曖昧なままスタートすると、全体の戦略にブレが出ててしまいます。また、コンテンツのテーマやトーンに一貫性がなくなってしまいます。
コンテンツマーケティングの目的は、顧客との長期的な信頼関係を築くための情報発信です。そのため、営業的な明確な目的やゴールを設定しづらいのは事実です。しかし、目的やゴールが不明確な取り組みは、必ず迷走します。顧客が購入するきっかけになる初動など小さなゴールを設定して、データを取りながらトライ・アンド・エラーを行なっていきます。
例えば、ターゲット顧客の悩みを解決する情報を発信して、詳しい解決法を書いたホワイトペーパー(冊子や読みものコンテンツ)をダウンロードしてもらうなど、売上は立たなくても、顧客のリアクションが得られるゴールを設定します。
長期的にデータを取りながら、そのリアクションが将来的に売上に繋がっているのか、目的やゴールを決めてPDCAを回していくことで、コンテンツマーケティングの方向性が確定していきます。
失敗2:コンテンツの質が低い
コンテンツの質が低いと、読者の興味を引くことができません。「質」より「量」を重視すると本末転倒になってしまいます。
コンテンツマーケティングの目的は、長期的な顧客との信頼関係の構築です。
しかし、目的をアクセスを増やすことに設定している会社も多くあります。実際、質の低い情報を大量に発信することで流入を増やすことは可能です。ただ、ここで顧客心理を考えてください。質の低い情報を発信している会社を信頼しますか? そんな会社に問い合わせをしようと思いますか? たぶん、そうは思わないはずです。
目的が顧客との信頼関係を築くことであるのであれば、良質な情報を提供すべきです。
どうしても、無料で情報を発信すると考えると、「無料だから簡単なものでいい」「サービスだから適当でいい」と考えてしまいます。しかし、インターネットでビジネスを行う場合は、良質な情報を無料で提供し、信頼関係を作ることで、後々、売上に繋がっていくという、長期的な視点でのビジネスモデルを作る必要があります。
信頼関係構築を目的とすると、情報が古い、誤字が多い、内容に間違いがあるようなコンテンツがないようにしなければなりません。情報に価値がないとユーザーに思われてしまうと企業イメージを毀損し、逆効果になってしまいます。
失敗3:SEO対策をしていない
検索エンジンを無視したコンテンツを作ってしまうと、ターゲットとする顧客に情報を届けることができません。
SEOは、検索エンジンの検索結果でコンテンツを上位に表示させるために最適化する手法です。顧客は検索エンジンを使って情報を探すため、上位に表示されると、多くのアクセスを獲得できます。
また、検索結果の上位に表示されると、そのサイトのコンテンツの信頼性が高いと見なされるため、Webサイトのブランディングにもなります。
SEO対策は、簡単にできるものがいくつもあります。顧客がどのような検索ワードで情報を探しているかを、Googleキーワードプランナーや無料のキーワード分析ツールを使って調べることができます。そのキーワードをタイトルやディスクリプション、コンテンツに入れ込むことで、検索エンジンに、「●●をテーマにしたコンテンツですよ」と伝えることができます。
関連性が高いと思われると、上位に表示してもらえる可能性が高くなります。そのような施策をすることで、上位表示が可能です。ぜひ、チャレンジしてください。
失敗4:宣伝ばかりになっている
コーポレートサイトであれば、商品やサービスの宣伝、商品紹介をすることは問題ありません。なぜなら、顧客の検索意図が商品やサービスの内容を知りたいというものだからです。
コーポレートサイトとコンテンツマーケティンの大きな違いは、「顧客がどのような意図を持って検索しているか」です。
例えば、事例①
「北街接骨院」の情報を知りたいと思って、検索窓に「北街接骨院」と入力したとします。その際は、あなたが、どのような施術をするのか、料金がいくらなのか、初回にどのようなサービスがあるのか、などサービスや商品紹介、宣伝を行なければなりません。
顧客は、北街接骨院のサービスや値段を知りたいという意図を持って検索をしているので、その意図に合った情報を提供しています。
しかし、
例えば、事例②
顧客が、「腰 痛み」というキーワードで検索をしていたとします。「腰の痛みが数週間続いている。何か悪い病気の兆候ではないか? 関連する病気の事例を探したい」という意図だとすると、あなたが、どのような施術をするのか、料金はいくらなのか、初回にどのようなサービスがあるのか、などの商品紹介や宣伝を見た瞬間に、他のページに行ってしまいます。
コンテンツマーケティングは、事例②のような検索ワードに含まれる顧客の悩みや不安、欲求に応えるコンテンツにしなければなりません。なぜなら、顧客の検索意図に対応しなければいけないからです。
そのため、宣伝や商品紹介は、極力避けて、顧客の悩みや不安、欲求に応えるコンテンツを提供していきます。
失敗5:顧客のニーズを理解していない
顧客のニーズをしっかりキャッチしていないと、有益なコンテンツを提供することができません。
典型的な失敗理由で、コンテンツマーケティングを外注に丸投げしているというものがあります。
外注先はコンテンツマーケティンのプロなので、任せておけば安心と考えてしまいますが、今までの失敗理由を見てもらえれば分かる通り、自社が提供できるサービスや顧客が抱えている悩みや不安、欲求を、理解し、それに対する専門的なコンテンツを作らなければ成功はしません。
このようなコンテンツは、外注先だけでは作ることができません。
Webサイトへのアクセスが増えたが、問い合わせや資料請求がないというのは、「質」よりも「量」を優先して低品質なコンテンツを読ませ、アクセスした顧客を失望させている可能性があります。
そのため、顧客のニーズをしっかり理解している営業担当者も含めて、制作チームを作る必要があります。リサーチや顧客のフィードバックには十分注意をし、的外れなコンテンツを発信しないようにします。
どれも当たり前のことなのですが、いざ運営をはじめると、当たり前のことができていないことがあります。絶えず意識するようにしましょう。
そもそもコンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは、「価値ある情報をインターネット上で提供することで、商品やサービスを効率的に売る仕組み」のことです。
広告や営業マンを介さずに、顧客を集め、あわよくば、問い合わせや販売へ導く。それもほぼコストをかけずに。そんな夢のような仕組みを作ることができる時代なのです。
今までのマーケティング(効率的に売る仕組み)は、
というユーザーの購入プロセスごとに情報を提供して、購入へ導いていました。
ユーザーは、広告を見て、「こんな商品があるんだ」と気づき、店頭等で販売員や営業マンの説明を聞き、購買意欲を喚起され、購入する。そんな流れです。
このような一方的に企業側からの情報を発信するプッシュ型のマーケティングが、今までは主流でした。なぜなら、ユーザーは、広告や営業マンなしに、情報を得ることができなかったからです。
商品やサービスを知ってもらう広告や営業マンは必要不可欠。しかし、TVCMやチラシ、営業活動には膨大なコストと時間がかかるため、マーケティングは、資金力、組織力のある大企業が行うものでした。
プッシュ型のマーケティング? プル型のマーケティング?
しかし、インターネットの登場で状況は一変します。
情報を誰でも発信できるようになり、膨大な量の情報を誰でも簡単に入手できるようになりました。ユーザーは、好きな時に、好きな情報が手に入れられるようになり、広告や営業マンの必要性が低下していきました。
今、元気のいい会社は、ユーザーに情報を取りにきてもらうプル型のマーケティングを有効的に使っている会社です。
プッシュ型 | プル型 | |
媒体 | チラシ、TVCM、営業、テレアポ | SEO対策、コンテンツマーケティング、口コミ、セミナー |
能動的・受動的 | 能動的 | 受動的 |
成約率 | 低い | 高い |
TVCMや雑誌などの媒体を使って、多くの人に情報を届けるマスメディアから、ネット上で自ら情報を発信するオウンドメディアへ移行が進んでいます。
このオウンドメディアの中心的な役割を担うのが、コンテンツマーケティングです。
コンテンツマーケティング 無料の売る仕組みのパワーをどう活かすか?
コンテンツマーケティングというと、とにかく多くの記事を書いて、SEOで顧客を集める集客方法と考える人が多です。ただ、ここまで読んでもらえれば分かる通り、集客から営業までを含めて、顧客と関係を作る活動と捉え直すことが重要です。
今は、大量の広告を投下して、ガムシャラに営業しても、売上が上がる時代ではありません。
この購入プロセス毎に、適切な情報が提供できて、尚且つ、ユーザーが探している時に、ホームページやブログ、SNSやメルマガで、欲しい情報が見つけられるようにする必要があります。
顧客が購入するまでの道のりを見える化した、カスタマージャーニーマップを使うと、いつ、どんな情報を必要としているかがわかります。
こう書くと難しそうに思いますが、原理は昔と一緒。
インターネットを利用することで、以前では考えられない大量のお客様と繋がることができます。
「商品説明」と「情報提供」
当たり前ですが、コンテンツマーケティングで最も重要なのは、顧客の役に立つ情報(情報)です。
役に立つ情報ではなく、売り込み情報になってしまうと、コンテンツマーケティングではなく、コンテンツセールスになってしまいます。
ユーザーは売り込まれるのが大嫌いです。セールスっぽい文章は読もうとはしません。コンテンツマーケティングの基本は、「商品説明」ではなく、「情報提供」に徹することです。
商品説明とは?
昭和の営業マンの役割は、ユーザーに商品の魅力や利点を説明して購入してもらうことでした。
いわゆる商品説明がどれだけうまくできるかが重要でした。なぜか? ユーザーが情報を入手する手立てがなかったからです。
では、令和の今はどうか?
営業マンが来る前に、ホームページを見れば、どんな商品か情報を簡単に入手できます。ユーザーの感想や口コミまで、事前に、調べることができるので、新人の営業マンより商品情報をよく知っている。そんなことさえ起こっています。
昭和 | 令和 | |
情報 | 入手する手立てがない | 簡単に手に入る |
入手方法 | 営業マン | インターネット |
ただ、ホームページの商品説明って、なんとなく読みたくないですよね。また、なんとなくウガった目で見てしまいますよね。理由は、商品のメリットを強調して、ユーザーを説得しようという売る側の意図が見えてしまうからです。
コンテンツマーケティングは、メリットを強調する商品説明はしてはいけません。商品説明のページとは、区別したブログやお役立ち情報ページ、SNSやFAQなどを使い、ベネフィットを提供していきます。
情報提供とは?
では、情報提供とは、どのような行為なのか?
情報提供とは、商品に関する客観的なデータを提供して、消費者自身に判断を委ねることです。
商品やサービスの仕様、機能、品質、価格、保証など詳細な情報を提供することで、ユーザーが合理的な意思決定ができるようにサポートすることです。
無理な誘導などがありません。
客観的で中立的なトーンで、具体的な数値やデータを提供して、ユーザーが判断ができるようにすることを目的にしています。顧客に十分な情報を提供することで、自分のニーズに適した商品なのか、判断できるようになります。
今、営業マンを呼ぶ時は、調べ尽くした後で、購入前の最終確認で呼ぶことがほとんどです。
具体的なデータは隠さずにオープンにするのがセオリーです。コンテンツマーケティングで発信するのは、このような「情報提供」になります。
売れる営業マンは、まず、「へぇ〜」を10回言わせる
昔から言われているセオリーで
売れる営業マンは、商品説明をしない!
というものがあります。
営業のファーストステップは、雑談。アイスブレイクで、初対面の相手の警戒心を解きながら、興味、関心を引き、ニーズを探ります。
いきなり売り込んで、心のシャッターを下ろしてしまうからです。じっくり雑談をして相手との距離感を縮めるのが、売れる営業マンです。
知人のトップセールスマンは、雑談で、「へぇ〜」を10回言わせるまでは、一切セールスをしないと決めていました。そのくらい関係づくりは大切なのです。
生の営業でも、ユーザーにメリットのある話をして、信頼関係を作ることを優先するのです。客観的な情報を提供して信頼関係を築くという点では、コンテンツマーケティングと同じです。
このことがわからず、コンテンツマーケティングとは名ばかりのコンテンツセールスをしています。
コンテンツマーケティングは、要するに、ユーザーとの関係づくり
情報をいくら提供しても、関係をつくることができなければ、購入につながりません。
コンテンツマーケティング成功のカギは、情報を提供することで、ユーザーと関係性を作ることです。
情報を提供することが目的ではなく、情報を提供することで関係を築くことが目的です。
では、どのように関係を築くのか? 私は、コンテンツマーケティングを以下のように定義している。
コンテンツマーケティングの定義
では、「人生を豊かにする情報」とは?
- 興味・関心がある情報
- 困りごとが解決する情報
- 新しい情報・知らない情報
「ユーザーとの信頼関係」とは?
- あなたの人となりがわかっている関係
- ユーザーのニーズを理解しいる関係
- 定期的に連絡が取れている関係
「パートナーとして相談される」とは?
- 専門家として思い浮かぶ
- 簡単に連絡が取れる
- プログラム・メニューを持ってる
このように定義すると、分かる通り、表面的な情報を提供しても、コンバージョンしない理由がわかったと思います。ユーザーの人生が豊かになる情報を提供して、信頼関係を作ることを、まず行います。
どのようにコンテンツを届けるのか?
ユーザーと信頼関係をつくる上で、重要なのが「定期的に連絡が取れる」ということです。そのために、いくつかの媒体を使い情報発信していきます。主に使う媒体は以下になります。
- ホームページ
- ブログ記事
- メルマガ
- ニュースレター
- SNS
- ユーチューブ
- ウェビナー
- ランディングページ
- ホワイトペーパー
コンテンツマーケティングは、メディアミックスで行います。いきなり全て行うことは難しいので、できることから、徐々に始めていってください。
顧客と関係を築く上で、最も重要なのは、接触回数です。この接触回数が増える仕掛けを作れるかがコンテンツマーケティングを成功させるカギになります。
接触回数が増えるフロー
一般的な、コンテンツマーケティングのフローは下記です。
- 困りごとがあり検索
- 参考になりそうなブログ記事を見つける
- 困りごとの解決方法が書いてある無料のホワイトペーパーをダウンロード
- メルマガが届くなるようになり、参考になりそうな動画のURLをクリック
- メルマガに書いてあるSNSをクリック
- メルマガでウェビナーのお誘いが届く
- 商品を購入する時期になったので、メルマガに書いてあるホームページのURLをクリック
- ホームページの問い合わせから相談
- ホームページから商品購入
確かに購入まで時間はかかりますが、インターネットを使って、自動的に顧客を産み出す仕組みなので、回り始めれば、勝手にお客様から問い合わせが入るようになります。
ほぼお金をかけずに、顧客を産み出す仕組みができてしまえば、あとは、SEO対策やコンテンツを増やすことで、さらに強化していくことが可能です。
検索エンジンを無視したコンテンツ作りをしてしまうと、ターゲットとする顧客に情報を届けることができません。適切なキーワードを選び、適切な文章量を意識してコンテンツを作成するようにします。
コンテンツマーケティング3つの改善策
失敗理由を整理すると、自ずと成功するための対策が見えてきます。
改善策1:明確なコンテンツ戦略を描く
ターゲット顧客を明確に定義し、そのニーズや関心にフォーカスして情報を発信します。発信予定を事前に作成して、一貫したペースでコンテンツを発信する計画を立てます。
改善策2:質の高いコンテンツを作成する
読者に価値のあるコンテンツを提供することは大切なことはありません。最新の情報や専門的な知識を提供し、読者の問題を解決するコンテンツを作成します。
改善策3:SEOの最適化とパフォーマンスの測定
検索結果の順位を上げるために、キーワードリサーチを行い、顧客が検索するだろう用語やフレーズを探します。そのキーワードをベースにコンテンツを最適化していきます。また、コンテンツのパフォーマンスを定期的に測定し、トラフィックやエンゲージメント、コンバージョン率を分析します。データに基づいて改善点を特定していきます。
どれも当たり前のことですが、ぜひ、チャレンジしてください。さらに深く知りたい人は、「繁盛ホームページ【9日間プログラム】」にチャレンジしてください。コンテンツマーケティングをはじめるためのヒントが満載です!