「競合他社と差別化できる特長がない」そんなお悩みを抱えていませんか?
ただ、性能やスペックで差別化しなくても、マーケティングで差別化することができます。昭和の「モノを売り込む」セールス重視型の販売方法ではなく、マーケティングを駆使して、「コト消費」へ導くスタイルに変えることが、今の激しい競争を勝ち抜くポイントになります。
私も以前は、性能やスペックの違いで人は商品を選ぶものだと思っていました。しかし、マーケティング力で販売する小さな会社と交流をする中で、差別化することの重要性に気づきました。それ依頼、マーケティングで、どうやって差をつけるのか意識して実践・改善を繰り返してきました。
似たような商品やサービスがあふれている中で、どうやって自分のビジネスを目立たせて、自然に売れるようにするのか? このコラムでは、性能やスペックに頼らない「マーケティングで差別化する方法」をわかりやすく解説します。売り込みなしで、顧客に「これだ!」と選ばれるコツを紹介します。
差別化を言語化できていますか?
競争を勝ち抜くために、どのような戦略を立てるべきか?
商売をする上で差別化はとても重要な要素です。「価格が安い」「他社にはない機能がある」「品揃えが豊富」「店舗が近くにある」「すぐ届く」 何らかの理由があるから、ユーザーは、あなたを選んでいます。
「ウチには差別化できるモノなんてないよ」と言う声が聞こえてきそうですが、売れているということは必ず何らかの理由があります。
それを、うまく言語化できていないだけです。もし、うまく言語化できれば、売上を飛躍的に伸ばすことができます。
差別化戦略とは、他社とは異なる強みを見つけ、それをアピールすることで顧客に選んでもらう戦略です。これは単なる商品やサービスの特長にとどまらず、顧客体験や、ブランドイメージ、マーケティングメッセージなど、いろいろな要素の組み合わせによって作られます。
なぜ、差別化マーケティングが重要なのか?
「どこで買っても同じ。違うのは値段だけ」ユーザーに、そう思われているかもしれません。
ユーザーは最も価値がある商品を買いたいと思っています。しかし、似たような商品があふれ、違いがわからないため、値段が安ければ何でも良いと思っています。値段競争に巻き込まれないために、顧客が一瞬で理解できる「違い」を、アピールする必要があります。
競争戦略とは?
ライバルとの差別化を図る戦略は、マーケティングの権威マイケル・ポーター氏が提唱した競争戦略の3つの基本戦略が有名です。
- コスト・リーダーシップ戦略
- ライバルを下回るコストで競争優位を確保する戦略
- 差別化戦略
- ライバルを上回る価値で競争優位を確保する戦略
- 集中戦略
- 特定の商品や地域などに集中して、効率的に経営資源を活かす経営戦略
ポーター氏が提唱したこの基本戦略は、多くの企業が取り入れ成果を上げています。ただ、どう取り組むかで、成果に大きな違いが生まれます。実装する際のポイントを見てきます。
競争戦略1:コスト・リーダーシップ戦略
コスト・リーダーシップ戦略とは、その名の通り、ライバルよりも安く売ることで、競争優位を確保する戦略です。しかし、単に価格を安くすれば良いというものではありません。
コストで競争優位を確保するには、当たり前ですが、低価格で販売できる仕組みが必要です。生産性の向上、業務・販売の高効率化、中間マージンの省略、薄利多売等(他社と異なる強み)を確立し、それを広告や広報等(アピール)で伝え、顧客に魅力を感じてもらいます。
「他社と異なる強み」と「アピールすること」がミックスしていることがポイント
コスト・リーダーシップ戦略のメリットは、高い市場シェアを獲得できれば、さらなるコストダウンが可能になるということ。そして、競争力のある価格設定ができることで、後発企業に対する参入障壁と作ることができることです。
逆にデメリットとしては、利益をど返しした価格競争へ陥ってしまう恐れがあるということ。この点では、コスト・リーダーシップ戦略は、財務体質の強い企業や、既に高いシェアを持つ企業に向いている戦略と言えます。
競争戦略2:差別化戦略
差別化戦略は、独自の機能やサービス(他社との異なる強み)を、広告や広報等(アピール)をすることで、顧客に魅力を感じてもらう戦略です。
差別化に成功すれば独自のポジションを築けるため、多くの企業が取り組んでいます。しかし、成功率はそれほど高くありません。なぜ、失敗してしまうのか? 失敗する理由は、大きく3つ。
■失敗する理由1
多くのライバルとしのぎを削る中で、画期的な商品やサービスのアイデアを見つけるのは簡単ではない。
■失敗する理由2
どんなにメリットのある商品やサービスでも、顧客に知ってもらわなければ売れない。新商品やサービスを顧客に認知させるには膨大なコストがかかる。
■失敗する理由3
どんな情報もまたたく間に広がってしまうので、簡単に模倣されてしまう。
世の中にない商品やサービスであれば、・何が画期的なのか?・自分にどのようなメリットがあるのか?・お金を払う価値があるのか? を知ってもらうには、膨大な時間と費用がかかります。
差別化できても、簡単に集客・販売ができる訳ではありません。
競争戦略3:集中戦略
集中戦略は、特定の領域に経営資源(人、モノ、金)を集中して競争優位に立つ戦略です。特定のターゲットや商品、地域、流通などの領域を絞り込むことで、効率的に戦うことができ、少ない経営資源で高いリターンを得ることができます。
集中戦略は経営資源に乏しい中小企業に向いた戦略と言えます。競合の少ないニッチな市場に特化して、独自のビジネスを展開していくには、強力なコンセプトが必要になります。
差別化マーケティングで「売る」と「売れる」
セールス・マーケティングには2つの考え方があります。「売る」と「売れる」です。
似た言葉ですが、この2つには大きな違いがあります。差別化戦略を組むには、この2つの違いをしっかりと意識する必要があります。
「売る」とは?
典型的な「売る」の例は、「営業マンが商品やサービスを説明・説得して、販売する」という行為です。ポイントは、売り手側の行動に焦点が当たっていることです。このプロセスは、売り手が積極的に行動しなければ、販売が成立しません。
「売れる」とは?
一方、「売れる」は、ユーザーが自発的に商品やサービスを購入する行為を指します。これは、商品やサービスの魅力・必要性、そして、ブランド力によってユーザーが自然と購入を決断できる環境を作ることにあります。「売れる」ためには、商品自体の魅力や価値、マーケティング戦略、ユーザーの信頼やブランドの認知度等、さまざまな要素が必要です。
差別化戦略は、「売る」「売れる」?
コスト・リーダーシップ戦略は、典型的な「売れる戦略」です。
価格はユーザーが最も理解しやすい「違い」になります。数字を見た瞬間に、「安い」のか「高い」の判断ができます。コスト・リーダーシップ戦略は、営業マンを介さずに、自発的にユーザーが購入する「売れる戦略」になります。
ただ、わかりやすく、誰でも競争に参入できるので、利益をど返した価格競争に陥ることが多いです。
では、差別化戦略は「売る」、「売れる』?
もし、あなたの商品やサービスの販売に、営業マンが介在することが必須で、ユーザーに説明・説得をしなければ売れないのなら、その差別化戦略は「売る」になります。
「売る」差別化戦略には、莫大な宣伝広告費、営業コストがかかります。
「売れる」差別化マーケティング
失敗する原因の多くが、「売る」差別化戦略にあります。
差別化マーケティングを考える際に重視しなければいけないことは、営業マンを介さずに「売れる」差別化戦略になっているかということです。そのためにステップは以下になります。
売れる差別化マーケティングを構築する3つのステップ
「戦略の目的は、あらゆる顧客を幸せにすることではありません。戦略を立てるからには、対象とする顧客とニーズを定めなくてはならない」とポーターは言っています。
画期的な差別化商品やサービスを製品化すると、市場に投入すれば勝手に「売れる」と考えがちです。しかし、簡単に「売れる」ようにはなりません。ユーザーに認知、理解してもらうのには時間がかかってしまいます。また、なかなか理解してもらえません。
「売れる」差別化戦略を構築するためには、下記のステップを踏むことをお薦めします。
STEP1:一瞬で理解できるコンセプトを作る
「売れる」ためには、商品やサービスの魅力・必要性が、一瞬で理解できるコンセプトを作らなければなりません。ユーザーにとっての具体的な利益を一言で伝えられるシンプルで強力なメッセージが必要があります。そのために、対象とする顧客とその顧客のニーズを明確にしていきます。
STEP2:マーケティングプランの構築
「売る」前に「売れる」土壌を作ります。
「マーケティングの理想は、販売を不要にすること」と、ピーター・F・ドラッカーは述べています。シンプルで強力なメッセージを浸透させるために、短期的な販売促進だけではなく、長期的なブランド構築や顧客満足度向上までを含んだマーケティングプランを構築します。
また、オウンドメディアなどの自社メディアで積極的に情報発信を行って、「売れる」土壌を作っていきます。
STEP3:販売促進プランの策定
「売れる」土壌を作りながら、販売促進活動を展開していきます。どんなに画期的な差別化商品でも、販売当初は、ユーザーにメリットを理解してもらえないものです。そのため、特別価格などの限定キャンペーンを実施し、販売促進をしていきます。
まとめ
確証バイアスを外す
当たり前のステップのように思いますが、差別化商品の販売をスタートする時、「コレは売れる!」という確証バイアスが働くことが多いです。
差別化商品の場合、自然に「売れる」というコンセプトを言語化し、顧客と顧客のニーズを調査しながら、マーケティングプランを考えていくと、販売上の障害が浮かび上がってきます。
長期的なマーケティングプランを事前に策定することで、確証バイアスを外し、販売上の障害への対策を立てることが可能になります。
ぜひ、効果的な差別化マーケティングの立案にチャレンジしてください。
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