マーケティングやコピーライティングでよく耳にする「ニーズ」と「ウォンツ」。この2つの違いをしっかりと理解することが、売れるコピーを書く上で非常に重要です。しかし、「ニーズ」と「ウォンツ」の違いをはっきり説明できる人は意外と少ないのが現実ではないでしょうか?
「ニーズ」と「ウォンツ」を日本語に訳すと、「必要性」と「欲求」。似たような意味なので、深く考えずに使っている方も多いのではないでしょうか。しかし、この2つの言葉の違いを理解すると、マーケティングの効果が大きく変わってきます。
私も以前は、「ニーズ」と「ウォンツ」の違いを意識せずにコピーを書いていました。しかし、この違いを理解し、コピーに反映させることで、ただ商品を「売る」のではなく、消費者に「買いたい」と思わせるコピーを作ることができるようになりました。
このコラムでは、「ニーズ」と「ウォンツ」の違いを効果的に活用し、読者の心を動かすバカ売れコピーを作るための3つの具体的な方法をご紹介します。売れるコピーを書きたいとお考えの方、ぜひ参考にしてみてください。
ニーズとウォンツの違い
ニーズとは?
中学校の英語の授業では、ニーズ(Needs)を「必要」と習いました。しかし、マーケティングの世界では「ユーザーの欲求」という意味で使われます。欲しいモノが手に入らない欠乏感や不満を感じている状態を指します。理想と現実のギャップを埋めたいという欲求です。
ウォンツとは?
ウォンツは、直訳すると「欲する・欲しい」です。こちらも、マーケティングでは、ウォンツは「ニーズを満たすための特定の商品やサービス」を指します。
上記の説明を聞いても、わかったような、わからないような感じですよね。
噛み砕いて言うと、ニーズは欲求の大元の欠乏感や不満の状態。ウォンツは、そのニーズを満たす具体的な商品やサービスです。
これでもわかりにくいでしょうか? では、具体例で見てみましょう。
喉が渇いたので、ミネラルウォーターを買いたい。
「喉が渇いた」という欠乏感や不満の状態(ニーズ)があり、そのニーズを満たすための具体的な手段が「ミネラルウォーターを買いたい」(ウォンツ)です。
ニーズとウォンツの公式
ニーズ(欠乏感や不満)とウォンツ(手段)は、下記の公式に当てはめることで区別することできます。
◯ 喉が渇いた(欠乏感や不満) → ミネラルウォーターを買いたい(手段)
× ミネラルウォーターを買いたい(手段) → 喉が渇いた(欠乏感や不満)
論理的には、欠乏感や不満な状態(ニーズ)が先にあって、そのニーズを満たすための手段(ウォンツ)が後に生まれるという流れです。
「ミネラルウォーターを買いたい」(ウォンツ)が先にあって、「喉が渇いた」(ニーズ)が後からついてくるということは、論理的には成り立ちません。
※必ずしも、人は論理的に行動しないので、逆になることもありますが、基本的にはこの順番です。
意味 | 具体例 | |
ニーズ(先) | 欠乏感や不満な状態 | のどが乾いた |
ウォンツ(後) | 手段 | お水が飲みたい |
見せかけのウォンツに騙されない
もう一つ、具体例を公式に当てはめてみましょう。
◯ 痩せたい(欠乏感や不満な状態) → ジムに通いたい(手段)
× ジムに通いたい(手段) → 痩せたい(欠乏感や不満な状態)
欲求の大元、「痩せたい」(太っている自分にガマンできない)という欠乏感や不満な状態があって、それを解決する手段として「ジムに通う」という順番です。
ここで、もう一つ重要なことがあります。
それは、「痩せたい」という欲求を満たす手段は、「ジムに通う」だけではなく、「食事制限」や「ヨガ」、「痩せる薬」などの選択肢があるということです。
同様に、喉が渇いたという欲求を満たす手段はミネラルウォーター以外に、コーラやビールなど、さまざまな選択肢があります。
具体例 | |
ニーズ(欠乏感、不満な状態) | 「痩せたい」 |
ウォンツ(手段) | 「ジムに通う」「食事制限の本」「ヨガ教室」 |
セールスで考えるニーズとウォンツの違い
セールスの現場では、よく「顧客のニーズを、しっかり確かめたか?」という質問をします。
ウォンツは、ニーズを満たすための一つの選択肢に過ぎません。ウォンツレベルの闘いは、なんでもありのバトルロイヤル。一方、ニーズを掘り下げていくと、最終的には欲求の大元にたどり着きます。
さきほどの例では、ニーズは「痩せたい」でした。そのニーズを満たすウォンツは、食事制限の方法が書かれた本もライバルになりますし、痩せる薬を売っている薬局もライバルになりますし、近くの他のジムもライバルになります。
ウォンツレベルのライバルとの闘いは非常に厳しいです。
その闘いから抜け出すには、ニーズを聞き、欠乏感や不満の大元まで辿って、それを解決する最適な商品やサービスを提案できるかがポイントになります。
「ニーズをヒアリングして提案しろ」とは、「欠乏感や不満(ニーズ)の大元まで掘り下げてから、最適な手段(ウォンツ)を提案しろ」という意味です。
顧客が何に不満を持っているのかが明らかになる前に、手段を提案しても「欲しくない」と言われるだけです。
では、なぜ、欲しくないと言われるのか?
顕在ニーズと潜在ニーズ
顕在ニーズとは?
顕在ニーズとは、本人が自覚しているニーズのことです。ニーズは、よく氷山に例えられます。海面から出ている本人が認識している部分の欲求が顕在ニーズです。
潜在ニーズとは?
潜在ニーズは、本人が自覚していないニーズのことを言います。先ほどの氷山の例で言うと、海面の下に隠れている部分です。表に見えていないので、本人でさえ気付いていないニーズのことです。
ここで重要なのは、氷山は海面の上よりも、水面の下のほうが大きいということです。
先ほどのセールスの話に戻ると、「顧客のニーズを、しっかり確かめたか?」という質問は、顕在ニーズ(見えているニーズ)ではなく、潜在ニーズ(見えていないニーズ)まで辿り着いたか? ということを聞いているのです。
では、『「喉が渇いたので、ミネラルウォーターを買いたい」の潜在ニーズは何か?』の仮説を立てると、
- 【顕在ニーズ】喉が渇いた
- 【潜在ニーズ】しっかりした母親でありたい。教育上、子供の前では甘い飲み物や炭酸を飲みたくない
- 【ウォンツ】ミネラルウォーターを買いたい
だったりします。
例 | |
ウォンツ | お水が飲みたい |
顕在ニーズ | 喉が乾いた |
潜在ニーズ | しっかりとした母親でありたい |
もし、このような潜在ニーズ(しっかりした母親でありたいという欲求)から、ミネラルウォーターを選んでいるとしたら、硬水や軟水、ミネラル分などを広告の全面に出して広告していっても、選ばれる理由にはなりにくいということです。
それよりも、小さな子供のいる、しっかりしたイメージのお母さんタレントが、子供に見られながら、ミネラルウォーターをゴクゴク飲んでいるCMのほうが、ターゲットに刺さる可能性があります。
そのため、ターゲットを詳細に決めて、商品説明用の文章を書いていきます。
「なぜ、欲しいのか?」「何に欠乏感、不満を感じているのか?」は見えている部分と、表には見えない部分の2つがあります。表に見えない部分は、本人でさえわかっていないこともあります。
ニーズとウォンツでサイトのパフォーマンスを最大化するには
Webサイトのパフォーマンスを最大化するには、顧客の「欲しい」の深い部分まで掘り下げていく必要があります。そのために、ニーズ・ウォンツ分析をすることは、とても重要です。
ここまで読んでいただいてお分かりの通り、特定の商品やサービスの優れている部分を紹介して、ウォンツ(手段)を高めることも重要なのですが、それ以上に、ユーザーが何に欠乏感や不満を持っているのかを知って、その奥に隠れた潜在ニーズまで理解して、提案することがとても重要です。
ニーズとウォンツに細かく対応した商品やサービスであるならのならば、顧客はあなたが売っているものを「自分のための商品・サービスだ」と思うようになります。
そして、その潜在ニーズに訴えるコンテンツを作ることで、パフォーマンスを最大化することができます。ぜひ、チャレンジしてください。
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