Webサイトで成果を出すためには、ターゲット顧客の選定が欠かせません。顧客のニーズや特性を的確に把握し、それに基づいた戦略を構築することが、集客を大きく左右します。しかし、多くの企業が、どのようにターゲットを選定したらいいのか分からず、曖昧に決めてしまっているのが現実です。
このコラムでは、ターゲット顧客を具体的に選定する手順を詳しく解説し、効果的なWeb戦略の構築方法を解説します。
ターゲット層を、真剣に決めなければいけない理由とは?
婚活は、理想のパートナー像を明確にすることが重要だと言われている。
イケメンの異性に、優しい言葉で結婚をほのめかされても、生活力がなく浮気症なら、理想のパートナーからは外れる。恋愛なら感覚的に選んでもいいが、結婚相手となると、そうはいかない。
2人で遊んでいる分には楽しいことも、いざ一緒に生活するとなると、現実的な生活を現実的に処理していかなければいけないからだ。たいていの場合、勢いだけで結ばれたカップルは、幻想と現実のギャップに結婚後気づくことになる。
なので、真剣であれば真剣であるほど、学歴や年収、家柄や容姿、性格、家事の考え方や子供に対する思い、相手の親との関係性や老後のことなど、様々な条件を事前に確かめて、譲歩できるラインまで決めて婚活に挑む。
しかし、ビジネスの現場に目を向けてみると、ターゲット顧客を感覚的に選んでいる企業が実に多い。
なぜ、ターゲット顧客を見誤るのか?
鳴り物入りで投入した新商品が、鳴かず飛ばずに終わることがある。たぶん、90%以上の新商品は数年後には消えている。
消えていく商品の多くが、ターゲット顧客を見誤っている。例えば、カフェインフリーで無色透明なコーラを作れば、健康志向のユーザーも取り込めるかもしれない。そう考え、1992年に「クリスタル・ペプシ」という商品名で無色透明のコーラが発売された。
確かに、女性や健康志向の人にはウケそうな気はする。しかし、わずか発売1年で生産中止に追い込まれた。なぜか? コーラのメインのターゲットは若い男性層で、求めているのは「黒い刺激的な炭酸水」。「クリアで健康的なコーラ」を求めている人は存在しなかったのだ。
商品のアイデアが先行して、蓋を開けてみると、顧客はいなかったという例だ。
ターゲット顧客とは?
感覚的にターゲット顧客を選んではいけないことはわかった。では、どのように決めたら良いのか?
ターゲット顧客とは、「自社の商品やサービスを売る際に対象となる顧客層」のこと。そのため、多くの人が商品やサービスを“欲しい”と思う顧客層のことをターゲットと考える。なので、“欲しい”と思う「ウォンツ」を起点にターゲット顧客を決めようとする。しかし、この手順でターゲット顧客を決めると、かなりの確率で失敗する。先ほどのクリスタル・ペプシと同じだ。
ターゲット顧客は、「ウォンツ」ではなく、「ニーズ」から選ぶべきなのだ。
ウォンツとニーズ
商品を欲しいという心理を「ウォンツ」、必要という心理を「ニーズ」と言う。
どちらも似たような意味で、違いがわかりにくい。ただ、この違いは、しっかりと押さえておいてほしい。事例で考えてみよう。例えば、「マイホーム」の場合、ウォンツは、「家が欲しい」「家を手に入れたい」という、「欲求」や「手段」になる。それに対して、ニーズは、「家族との幸せな時間を過ごせる場所を確保したい」という「目的」を表す心理だ。
消費者を満足させるには、最終的な目的であるニーズを満たさないことには達成できない。家が欲しい人に、高性能な家(商品)で欲求や手段を刺激するよりも、「家族との幸せな時間を手に入れる」という「目的」の達成法をアピールするほうが有効だ。
ターゲット顧客を決める際には、このニーズ(目的)にフォーカスする。
ターゲット顧客決定に必須のSTP分析とは?
STP分析は、近代マーケティング理論の神様、フィリップ・コトラー氏によって考案された分析手法だ。
セグメンテーション(市場を細分化)、ターゲティング(ターゲット顧客)、ポジショニング(立ち位置)の頭文字をとったマーケティングの代表的なフレームワークだ。
では、どのように分析していくかを見ていこう。
セグメンテーションとは?
セグメンテーションとは、市場を細分化することを言う。
ただ、セグメンテーションの目的は、ただ細分化することではなく、細分化することによって、競合がリーチしていない顧客層を見つけることにある。地域や性別、家族構成や職業、年齢や収入、趣味やライフスタイル、行動軸など、何らかの基準を設けて区分して、最適な顧客層を定義していく。
ターゲティングとは?
ターゲットとは、マーケティングで、「想定顧客層」を意味する。このターゲットを決めることがターゲティングだ。ここで重視するのが、先ほどの「ニーズ」。
例えば、ユニクロのセグメンテーションは、「男性 vs.女性」「20代 vs.30代」「都市 vs.地方」という区分けではなく、「トレンド vs. 定番」「外着 vs.普段着」という視点で市場を細分化していると言われている。
そして、そこから浮かび上がった「流行に左右されないベーシックな普段着」を求める層がターゲットになっている。ターゲティングで絞り込むことで、特定のニーズを持った顧客層が見えてくる。
ポジショニングとは?
ポジショニングとは、顧客の心の中に、明確なポジションを得ることを言う。ただ、顧客の心の中では、絶えず競合他社と比較されているため、競合他社との関係から自社の立ち位置が決まることになる。ここでも、「ニーズ」を重視してポジショニングをしていく。
例えば、「納期が迫っていて、早く手に入れたい」という目的(ニーズ)を持った層をターゲットにするなら、顧客の心の中に、「あそこに頼めば、翌日には届く」というポジションを確立するための施策を打つ必要がある。そのために、ネーミングやキャッチコピー、広告などのマーケティング活動で、心理的なポジションを固めていく。
そのためにも、マトリクス図などを使い、どこに自社の優位性があるのかを可視化していくことは重要だ。
先ほどのユニクロの例では、様々なファストファッションがある中で、「流行に左右されない長持ちするベーシックな普段着を安価で購入できる」という差別化したポジションを確立している。
ダーゲット顧客を行動させるための3つの方法
ターゲット顧客を行動させるために最も重要なことは、禅問答のようだが、適切なターゲットを選ぶということだ。多くの会社はターゲットを見誤っているために、行動をしてもらえていない。
シーズとニーズ
なぜ、ターゲットを間違えるのか? それは、自分たちが作った商品やサービスをターゲット顧客に売り込むとするからだ。シーズとニーズという言葉がある。
シーズとは、自社が持つ技術を活かして差別化した商品を開発するアプローチのことを言う。メーカー主導の商品開発のため、画期的なメリットを提供することができるが、買い手に受け入れられるかという、最も重要な点に課題が残る。
それに対して、ニーズによる商品開発は買い手の欲求の元である目的(これは先ほど解説した)をベースにしたアプローチだ。そのため、ある程度の売上は見込めるが、ライバルが存在していることが多く、価格競争に陥りやすい。
なので、
- 市場を細分化してライバルが手をつけていない顧客層を見つける
- マーケティング活動によって、心理的なポジションを確立する
- ニーズ、特に、困っている人、悩んでいる人をターゲットにアプローチする
をすることで、行動を促すことができる。
まとめ
ターゲティングで、商品やサービスの売込み先が明確になれば、マーケティングの方向性がブレなくなる。なぜなら、顧客が明確になれば、顧客の困りごとや悩みごとが理解しやすくなり、的確なサポートが可能になるからだ。
最適なホームページ戦略を構築するためにも、顧客ニーズをしっかりと掴み、ターゲット顧客を明確にしていくことをおすすめする。